あなたは少しだけ優しく笑って
「もう大丈夫だから」
と言ったわ
あたしには分からなかったのよ
どうして大丈夫なのか
安らぎを求めていたわけじゃない
だけど現実(ココ)から逃げ出したかった
身体にしみついた知らない男たちの口づけ
同情なんてされたくないくせに
あなたのにおいであたしを満たして欲しかったわ
あなたは少しだけきつく叱って
「信じて欲しい」
と泣いたわ
あたしは何も知らなかったのよ
信じるってどういうことか
ぬくもりを欲したわけじゃない
だけど冷たい雨は嫌だった
身体に残された 覚えのない多くの傷跡
優しくなんてされたくないくせに
あなたのくちびるがあたしの傷に触れるたび
身体中で喜んでいたの
もし大丈夫だと信じることができたら
あなたの口づけに快感を覚えたあたしが素直に
あなたが欲しいと言えたら
あなたはあたしの身体中に口づけをして
あなたは絶対にあたしを抱いてくれない
だから他の男たちがあたしを抱くの
そこに愛がないことくらい知っているから
もろい刃で断ち切って
本当は羽が欲しい
あなたのところまで飛んでいけるような
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